2026/01/09 08:30


コーヒーは、少し背伸びしたくなる飲み物だった

コーヒーには、どこか「大人の飲み物」というイメージがあります。 小さな頃に見た大人たちがコーヒーを飲む姿。立ちのぼる香ばしい湯気と静かな時間。その様子は、少し背伸びをしたくなるような憧れとして、記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。コーヒーとの最初の出会いは「香り」から始まる。なんだか良さそうだな、と思って口にしてみると次にやってくるのは「苦い」という印象。

「どうして大人たちは、こんなものを飲むんだろう?」

そんなふうに感じた経験がある人もきっと少なくないはず。

Day & Coffeeの焙煎でそんな最初の苦い記憶を少し変えられたら嬉しいです。


「甘さ」を基準に焙煎するということ

喫茶店で飲んだコーヒーはどこかやわらかくて飲みやすかった。そしてスペシャルティコーヒーに出会ったとき、それはまるで別の飲み物のように感じられました。花のような香り。果実を思わせる風味。飲み込んだあとに静かに広がるほのかな甘み。「コーヒーは、果実なんだ」とこれまでの説明が腑に落ちました。

コーヒー豆は、コーヒーチェリーという赤い果実の種。本来、甘さを内側に持っている存在です。Day & Coffeeでは、この果実としての魅力がきちんと立ち上がることを焙煎の大切な基準にしています。

「果実」という言葉から酸味のあるコーヒーを思い浮かべる方もいるかもしれません。もちろん、明るい酸味が魅力になる豆もあります。けれど Day & Coffee が大切にしているのは、酸味を前に出すことそのものではありません。果実をかじったときに酸味の奥からゆっくりと立ち上がってくる甘さ。私たちが見ているのはそのバランスです。ここで言う「甘さ」は砂糖の甘さではなく、果物を食べたあとに口の中にゆっくりと残る、あのやわらかい甘みです。

焙煎では、豆の水分量や火の入れ方、焙煎後のガスの抜け方、味が落ち着くタイミングなど、いくつもの要素が重なります。その中で、甘さが一番きれいに立ち上がる瞬間を探し続けています。


家で淹れても、そっと甘みが残るように

もうひとつ、大切にしていることがあります。それは、その甘さが家で淹れたときにも感じられること。コーヒーは、お店で飲む特別な一杯だけのものではなく、朝の始まりや仕事の合間、夜のひと息に寄り添う存在でもあります。


・毎日飲んでも飽きにくい

・淹れ方が変わっても大きく印象がぶれない

・飲み終わりにそっと甘さが残る


そんなバランスを目指して焙煎のプロセスを設計しています。 強すぎないけれど物足りなくもない。気づいたらまた飲みたくなっている。暮らしの中に無理なく置いておけるコーヒーであること。

それがDay & Coffeeが考える「日常の一杯」です。



「甘さ」をコーヒーを知る入り口に

コーヒーは本来、とても自由な飲み物です。深煎りにも、浅煎りにも、それぞれの魅力があります。そのうえでDay & Coffeeが広げたいのは「苦くないコーヒーもちゃんとある」という入り口です。

甘さを基準にした一杯があると酸味が苦手な人も、コーヒー初心者の人も、すっと世界に入ってくることができます。そこから少しずつ自分の「好きな味」を見つけていく。その過程も含めてコーヒーの楽しさだと思っています。

かつては「苦い大人の飲み物」だったコーヒーをいまの暮らしに寄り添う、やさしい日常の一杯へ。Day & Coffeeでは今日もコーヒーの「甘さ」にフォーカスして焙煎を続けています。


Speaker:北嶋孝祐

Text & Photo:追沼翼