2026/02/06 08:30

そもそも「ドリッパー」とは?
コーヒー屋でよく見る、円すい型の器具。
コーヒーの粉をセットし、そこにお湯を注いで抽出するためのものです。
同じ豆、同じ焙煎でも、どんなドリッパーを使うかで味わいは驚くほど変わります。お湯の抜け方、粉との触れ方、蒸らしの仕方。ドリッパーは、コーヒーの味の出方を左右するいわば「道筋」をつくる道具です。
Day & Coffee では、開業当初から ハリオの V60 というドリッパーを使っています。理由はひとつではありませんがこの店が目指している味の方向ととても相性がいいと感じているからです。

V60って、どんなドリッパー?
V60は、日本の耐熱ガラスメーカー・HARIOがつくっているドリッパーです。名前の由来は、60度の円すい形(V字)をしていること。
V60には、いくつか特徴的な構造があります。
まずひとつは、円すい形であること。
粉の層が自然と深くなり、お湯が中心に集まりやすい形です。これによって粉とお湯がしっかり触れ合い、抽出のコントロールがしやすくなります。

次に、底にひとつだけ空いた大きな穴。
多くのドリッパーは複数の穴がありますがV60はひとつだけ。この構造のおかげでドリッパー自体が抽出スピードを決めすぎません。注ぐスピードや量によって味わいを調整できる余地が残されています。

そしてもうひとつが内側に刻まれたスパイラル状のリブ。
これはペーパーフィルターとドリッパーの間に空間をつくり、ガスや空気が抜ける通り道を確保するためのものです。このおかげで蒸らしのときに粉がきれいにふくらみやすくなります。

「自由度が高い」=ごまかせない道具
V60はよく、「自由度が高いドリッパー」と言われます。注ぎ方ひとつで軽やかにもしっかりにもなる。裏を返せばごまかしがきかない道具でもあります。
粉の状態、焙煎、注ぎ方。どこかがずれるとそのまま味に出てしまう。それでも私たちがV60を使い続けているのは、この正直さがDay & Coffee の考え方と合っているからです。
私たちが焙煎や抽出でいちばん大切にしているのはコーヒーの「甘さ」です。
ここで言う甘さは砂糖の甘さではありません。飲み終わったあと口の奥にふっと残るやわらかい甘さ。V60は、その甘さを引き出すための調整がしやすい。蒸らしを丁寧にとることもできるし、お湯の流れをコントロールして苦味や渋みが出すぎないようにもできる。豆が持っている甘さの「芯」をできるだけそのままカップに移す。そのための余白をV60は残してくれます。

家で淹れる一杯とも、つながってほしい
V60を選んでいるもうひとつの理由は、家でも同じ道具が使われているという点です。特別な業務用器具ではなく、価格も500円〜と多くの人が家で使っているドリッパーです。
お店で飲んだ味と家で淹れる一杯が、完全に同じでなくてもいい。でも、「方向がつながっている」と感じてもらえたら嬉しい。その橋渡しになってくれる道具だと思っています。
V60は、その考え方に静かに寄り添ってくれています。
Speaker:北嶋孝祐
Interview & Text:追沼翼
