2026/02/20 08:30


店頭でコーヒーを注文するとき、豆の名前や焙煎度よりも先にふと迷うことがあります。「今日は、どんな気分だろう?」
軽く飲みたいのか。しっかり飲みたいのか。酸味は平気か、苦味はどうか。ミルクを入れるか。あるいはブラックで、静かに飲みたいのか。
Day & Coffee では、その迷いごと受け止められるように抽出をV60ドリップ/エアロプレス/フレンチプレスの3つから選べるようにしています。 
同じ豆でも、抽出器具が変わると味わいが変わる。それは器具が「味の出方のクセ」を持っているからです。いわば、コーヒーの味をどんな輪郭で見せるかを決めるレンズみたいなもの。豆の個性を、どの角度でいちばん気持ちよく届けるか。そこに器具選びの意味があります。
今日の気持ちに1番ぴったりな方法を、あなたと一緒に探したい。今日はそのための3つの道具を紹介します。

1|V60|「透きとおる甘さ」をつくりやすい
V60は、HARIOがつくっている円すい型のドリッパーです。特徴は、まず形が60°の円すいであること、そして底に大きなひとつ穴があること。さらに内側にスパイラル状のリブが入っていて、ペーパーが貼りつきすぎない構造になっています。
この「ひとつ穴」がけっこう大事。ドリッパー側が抽出スピードを決めすぎないので注ぎ方で味を調整できる余白が残ります。ゆっくり注げばしっかり、軽やかに注げばすっと抜ける。こちらの意図が味に反映されやすい正直な器具です。
もうひとつ、V60はペーパーフィルターを使うことで口あたりがクリアになりやすい。ペーパーは微粉やオイルをある程度キャッチしてくれるので輪郭がすっきり出ます。Day & Coffee が目指す「甘さ」も、こういうクリアさの中だと見つけやすい。

2|エアロプレス|「やわらかく整う」から、迷った日に強い
エアロプレスは、ざっくり言うと 浸漬(しんし)+圧力+紙フィルター の道具です。公式にも、短時間の浸漬(immersion)、マイクロろ過(micro-filtration)、空気圧(air pressure) の組み合わせが特徴だと説明されています。
この「浸漬」が入ることで味が出やすい。そのうえで紙フィルターがあるので後味が重くなりすぎにくい。V60ほど注ぎの技術で揺れないぶん、狙った方向に整いやすいのが強みです。
Day & Coffee では、「コーヒーは気になるけど、どれがいいか分からない」みたいな相談が来たとき、エアロプレスを提案することがよくあります。 派手さではなく、飲み疲れない。でも、甘さの芯はちゃんと残る。迷った日に頼れる存在です。


3|フレンチプレス|「厚みと余韻」をそのまま飲む
フレンチプレスは、粉とお湯を一緒に浸して、最後にメッシュのフィルターで押し下げる方式。抽出としては分かりやすくて、たとえば基本の考え方として 粗挽き を使い、数分(目安として4分ほど) 浸してからプレスする、という手順がよく案内されています。
この器具の魅力は、なんといっても「厚み」。 口あたりに量感が出やすく、余韻が長く感じられることがあります。同じ豆でも「コーヒーを飲んだ感」が強くなる。寒い日とか、甘いものと合わせたい日にも合う。
一方で、豆や挽き目によっては微粉が出やすかったり、沈殿が気になることもある。だからこそ、私たちは粉の状態や時間を見ながら、できるだけ気持ちよく飲めるところに寄せていきます。

最後に。私たちが器具を3つ用意しているのは、メニューを増やしたいからではなくて、あなたの「合う」を増やしたいからです。 今日の一杯が、ちゃんと日常の中に置ける味であるように。そして、甘さが静かに残るように。そのためにV60も、エアロプレスも、フレンチプレスも同じくらい大事に使っています。

Speaker:北嶋孝祐
Interview & Text:追沼翼