2026/09/29 18:00


仙台・一番町にあるStaghorn Records(https://staghorn-records.jp)は、レコード、カセットテープ、本、ZINEを扱うアナログメディアカフェです。2023年にオンラインストアとして始まり、2026年5月にカフェを併設した実店舗を開きました。Day & Coffeeは開店に向けて、店で提供するオリジナルブレンドの選定・焙煎と、HARIOスイッチを使った抽出レシピづくりをお手伝いしました。店主の西嶋陸さんに、コーヒーを取り入れた理由や、一緒に豆を選んだときのことを聞きました。

コーヒーが、店に入る理由になる

レコードやカセットを買う予定がなくても、「お茶をしよう」と立ち寄れる。カフェを併設したのは、そこからアナログメディアに触れるきっかけをつくりたかったからだといいます。音楽や本が好きな人はもちろん、これから触れてみたい人も気軽に過ごせる、のびのびとした雰囲気を大切にしています。そして、気軽に立ち寄れる店だからこそ、コーヒーもおいしいものを出したかったそうです。
Staghorn Recordsのメニューには、Day & Coffeeの豆を使っていることが書かれています。お客さんから「これ、山形のコーヒーですよね」と声をかけられることもあるそうです。仙台の店で山形のコーヒーを飲めることが、店のもうひとつの楽しみになっています。
最初にDay & Coffeeのコーヒーを飲んだときのことも聞きました。それまではブラックコーヒーを特別好んで飲むわけではなかったものの、すっきりした軽やかさや果実を思わせる味わいが印象に残ったといいます。「フルーティーなコーヒーって、こういうことなのかなと思った」と振り返ります。

開店前、豆と一緒に抽出方法を考える

実店舗では飲食も提供することが決まっていましたが、コーヒー豆をどう選び、どう淹れるかという判断の基準はまだありませんでした。そこで私たちに相談をいただき、開店に向けて一緒に豆を選ぶことになりました。
きっかけのひとつは、Staghorn Recordsのクラウドファンディングのリターンです。私たちからオリジナルブレンドを提案したとき、「ブレンドもつくってもらえるんだ」と思ったそう。それまではDay & Coffeeにシングルオリジンを中心に扱う店という印象があり、自分の店のためのブレンドを相談する発想がなかったといいます。
初めてのカッピングでは、価格帯も味わいも異なる複数の豆を試しました。選ぶうえで重視したのは、飲んだときの味。価格やオペレーションも考えながら、店で毎日出していきたいと思える豆を探しました。そうして選んだのが、現在店で使っている中深煎りの「スタレコブレンド」です。
当初はレコードや本に触れる時間を店の中心に考え、コーヒーはその時間を支えるものと捉えていました。それでも実際に選ぶ場面では、安さだけで決めず、味を確かめて一緒に選びました。


一種類の豆を、ドリップにもエスプレッソにも

スタレコブレンドは、ハンドドリップのコーヒーとして提供するほか、エスプレッソにも使っています。ラテやモカ、アフォガートなど、メニューが広がっても使う豆は一種類。豆を使い分けるための発注や調整を増やさずに済むことが、開店直後の店を回すうえで助けになったそうです。
抽出器具にはHARIOのスイッチを採用しています。導入前はハンドドリップに手間がかかる印象があったものの、私たちが豆に合わせて提案したレシピを試すと思っていたより手順がシンプルで、提供もしやすかったといいます。
「この豆はこの淹れ方でおいしく出せる、と言い切ってもらえたのが安心材料だった」。豆と一緒に、店で再現できるレシピを決めたことが、一杯を出す自信につながりました。営業を始めてからも、豆のエイジングやその日の状態を見ながら、撹拌のタイミングなどを店内で調整しています。 

キーマカレーのあとにも、レコードを選ぶ前にも

おすすめの組み合わせを聞くと、返ってきたのはキーマカレーとアイスコーヒー。店にはカレーやアフォガートを目当てに訪れるお客さんもいて、食事のあとにコーヒーを飲んだり、ケーキやアイスと合わせたりする人もいます。
音楽や本を探しに来た人がコーヒーを注文することも、食事やコーヒーをきっかけに初めて店へ来ることもある。一杯が店内で過ごす時間をつくり、その先に、まだ知らなかったレコードや本との出会いがあります。


これから、豆を家にも持ち帰れるように

店では「コーヒー豆も買えますか」と聞かれることがあるそうです。来店する人が増えたら、豆の販売にも取り組んでみたいと話してくれました。
これからもっと知ってもらいたいのは、飲食、音楽、本を一緒に楽しめるStaghorn Recordsでの時間です。すでに繰り返し訪れるお客さんがいる一方で、まだ店の存在を知らない人もいます。コーヒーを飲みに来た人が一枚のレコードを手に取り、本を探しに来た人が一杯を頼む。そんな行き来が少しずつ増えていくように、私たちも店の一杯を支えていきます。

Interview & Text:追沼翼